おかねいじりむしの投資ノート

すぐ忘れちゃう自分用の公開ノート。 主に国内株の銘柄分析です。

東京窯業 24/12/09

想定株価:880Y

下値:320Y

投資シナリオ「好調な業績を背景にした月足上昇トレンド再開を狙う。1年スパン」

オススメ度:★★★★☆

 

窯業の読み方は「ようぎょう」です!TYKと書かれることがある。

材料

業態の成長性

主要販売先の日本、米国、欧州の粗鋼生産量は横ばい~下落傾向。

製鉄業がなくなるとは考えにくいので斜陽とは言えませんが、成長が見込める業態ではないでしょう。

ほか、過去を見るとリーマンショック前後で大きく売上を落としています。製鉄業の設備投資に依存する構造からもシクリカル系と言えます。

 

配当政策

よくある、内部留保もしつつ安定的に~的なやつで、具体的な数字はなし。

実績ベースではこの6年ほどは総還元性向が20~30%でそれ以前より上昇中。

 

役員報酬

合計100MY、純利益の5%弱。あれ高い?と思いましたが、いくつか調べたところ妥当かやや安いくらいの模様。

 

❌️株主構成

販売先になる製鉄系企業が合計30%弱で最大。彼らにとって重要なのは良好で有利な取引関係でしょうから、還元強化など株主全体の利益には非協力的でしょう。

この株は資産バリュー系ですが、株主主導のカタリストは起きづらそうです。

⭕️買収防衛策の廃止

19年の有報までは大規模買付へ対抗するストックオプション無償発行の記述がありましたが、20年から消えました。

資産バリュー株なのでポジティブな変化です。

 

土地の含み益

(土地面積)デカすぎんだろ…

岐阜県多治見市に上記3つが合わさった広大な土地。ほかは少額や計算困難につき無視です。

やや中心部から離れた土地ですが、多治見市中心部が0.04, 離れた住宅地が0.02くらいだったのでこれくらいかなと。

 

全然関係ないですが、昔「やくならマグカップも」というアニメで岐阜県多治見市が焼き物の町だと知りました。TYKもそこから始まってそう、歴史感じる。

 

業績予想の信頼性

基本的に弱気予想気味です。18年以前の短信がどこにもない…。

❌️大量保有報告:JFEスチールの売り傾向

販売先系株主のJFEスチールが23年2~5月に激しく売っているのが気になりました。

17年頃から同社はちまちま売っているので、単に大きく伸びたタイミングで一気に売却を進めたように見えますが、まだ4.1%持っているのでこの売り傾向はネガティブです。

 

信用需給状況

信用売買は盛んではないようです。

 

気になった過去の決算

18年期

冷え込んでいた利益がここから急激に伸びました。有報では東京五輪需要が挙げられ、

確かにP/Lを見ると売上が伸びた結果、販管費で利益が圧迫されなくなったようです。

この後は経常利益率が5~8%から13%前後と大きく向上した上で安定しています。

20年期

純利益/経常利益が38%と低いです。特別損失として投資有価証券評価損が-700MYほど。3月決算なのでコロナショックのようです。

今も総資産の20%ほどが投資有価証券で、よく見ると配当など営業外収益も毎年あります。

 

24年期

現在のP/Lはこう。18年期からさらに売上が増えたものの、この間の従業員数+10%に対し販管費+20%と賃金を増やした結果、経常利益率は13%据え置きです。

 

事業価値

分析シート

実績上の高成長、シクリカル性の高さ、業態のやや低い成長見込み これらを総合して、想定PERは11±2倍と見積もりました。

当期業績見積もりは、2Q時点で経利進捗59%を踏まえて高めに見積もりました。

 

⭕️資産価値

資産バリューが非常に高いです。
土地の含み益を除いてもネットキャッシュ比率が1をやや超えるレベルです。

配当利回りも予想で4.0%と高位ですが、業績低迷期には低配当だったことは忘れてはいけません。

 

ファンダ総評

資産バリューは非常に高いですが、株主構成と入り込む余地の小ささから「開くことのない宝箱」という印象です。
とはいえ、それを差し置いても利益や成長に株価が一歩追いついてない割安さがあり、資産バリューにもちょっぴり期待しつつも持つ価値は十分ありそうです。

ただし、業態・資産に占める有価証券・業績連動の配当などシクリカル性は熱盛りなので、不景気の兆しが見えたらスパッと抜けないとひどい目に合いそうです。

 

チャート分析

24年に入ってからは下落トレンドが横ばいに近づきつつありつつ、月足では22年末からの上昇トレンドラインが試される展開です。

その後は上は520Y、下は320Y、250Yが意識されるラインになりそうです。