日本電信電話

目標株価

3650Y

 

聞き慣れない方もいると思うが、要はNTTグループのことである。

携帯電話(ドコモ)、地域固定電話(NTT東日本等)、国際電話、大手SI(NTTデータ)などを手掛ける総合通信事業会社である。

 

利益が22年に実に30%伸びている。それに合わせて2016年から横ばいだった株価が上昇して落ち着いたというのが現状だ。

ただ、売上や営業利益にそこまでの伸びは見られない。

この謎の答えは損益計算書から読み取れる。

 

年度 当期利益 当社に帰属する当期利益 割合%
2019 1111 855 77
2020 1127 916 81
2021 1256 1181 94

 

2020→2021で帰属する当期利益の割合が13%増えている。

2020年度にグループの半分ほどの利益を上げるNTTドコモの株式保有率を60%→100%に増やし、完全子会社とした。これが理由のようだ。

 

年度 負債及び資本合計 BY 負債合計 BY 割合%
2019 23014 11551 50
2020 22965 14762 64
2021 23862 14844 62

この子会社化は「4兆円の買い物」と言われた。

貸借対照表を見ると、確かに2020で3兆円強負債が増えている。負債の増加量の大きい短期借り入れ債務(+1.1兆円)、長期借り入れ債務(+2.3兆円)がその内訳のようだ。

 

これについては、

このように説明している*1。要は数年程度で返済していく予定のようだ。負債の比率は2021年で2%減っており、元の水準には戻っていこうとしているが、目標水準には元からもこれまでもまだ遠そうだ。

 

 

主にドコモ子会社化による利益+30%により、その間(2021.5 -> 2022.5)の株価が素直に30%増加している。

 

これが過大評価とならないかは、30%近く増えた負債が足かせとならずに利益を継続出来るか、想定通り数年で負債比率を減らせるかをもう少し評価する必要がありそうだ。

 

レーティングはこんなところだ。さらなる増益が期待され、負債増は杞憂という評価がなされていそうだ。

 

所感としては、ほんのり過大評価、株価が上ぶれていないか懸念する。

とはいえ、非常に安定したインフラ企業として配当狙いに保有するには良い銘柄と言えるだろう。

 

1/5 追記

2022年度2Qの貸借対照表によると、負債率は 15.6兆円/24.9兆円=63%。

負債比率の減少はなさそうだ。

今期はドコモの通信単価増等で増益は見込まれているがわずか1%。

やはり株価+30%は少し過大評価気味に感じる。

目標株価は、2021.5の株価2931Yの25%増の3650Yとしておこうと思う。

 

*1:※同社のEBITDAは当時でも1.5兆円のはず?なので、この説明は意味するところが分からない。”負債(0.9兆円)”という記述もよくわからない