おかねいじりむしの投資ノート

すぐ忘れちゃう自分用の公開ノート。 主に国内株の銘柄分析です。

5532 リアルゲイト 24/06/10

想定株価

23 2033Y

24 2867Y

25 3433Y

オススメ度:★★★★☆

 

築古で持て余されたビルをリノベーションしてオシャレな貸しオフィスにするグロース企業です。

2023/6にIPOしてまだ間もないです。

 

前回に引き続き、

こちらの情報から特に目標株価が高かったので気になりました。

 

事業価値

企業としても若く上場したてで、過去の情報が少ないのはちょっと読みづらいですね。

経常利益は17年に赤字な上に上がったり下がったりですが、売上はかなり順調に伸びています。

 

24年2Q決算資料

上場前の決算資料にアクセス出来ないので正確なところは分かりませんが、ビルをリノベーションしてはML契約で賃料収入につなげるというストック型収入を主力としている以上、物件を売っぱらって大儲け に比べると増益がジワジワと現れることが理由になりそうです。

また21年の減益はコロナ影響が大きいと思います。

売上で見れば17~23年のCAGR+30%とかなり好調ですので、あまり気にしすぎる必要はないかなと思いました。

個人的に気になったのは経常利益に対する純利益がかなり少ない年があること(22年、23年)です。

 

有価証券届出書 109p

これに関しては有価証券届出書の109pに記載があり、赤字続きで見込みがない物件?の減損損失を21年に174MY, 22年に329MY計上しています。

この減損損失は23年にも46MY計上されています。

額もなかなかですし多くの物件を取り扱う以上避けられず継続的な損失なので営業外費用ではダメなのか?と思いますが、会計は詳しくないので分かりません。

この減損損失が出る性質から、コロナ禍の21年、22年ほどではないにせよ純/経利益率は通常より低めに55%として見積もっています。

 

当期業績の見積もり

当期に関しては、引用ツイートやQ2決算説明でも分かる通り、

24年Q2決算資料

2Qで既に営業利益の通期目標を達成済みです。

これは先程の売上グラフからも分かる通り1Q, 2Qで過去実績より上振れたフロー収入があったことが理由です。

下期は、ストック型収入だけで売上通期目標7700は達成され、フロー型も上期から1/4の1000ほどは貢献すると控えめに仮定して、当期売上は8700と見積もりました。

 

利益面は、上期で通期目標達成・・とはいえ、下期はフロー収益は小さくなり、取得費用や開業初期赤字が大きくなる見込みです。

ストック型-固定費 の粗利を+200、フロー粗利を+50、費用類を-150とすると、通期営業利益は800、経常利益は会社予想と同様-10%して720と見積もりました。

 

上方修正にはなりそうですが、幅は小さそうです。

代わりに先行投資が来期以後の継続成長につながるため、長期保有では期待が持てます。

 

来期業績見積もり

今後の利益成長率目標を今後は+25~30%と謳っていますが、ここは保守的に20%としました。

もちろん適当ですが、当期下期の先行投資は十分に活きていくでしょうし、「建築価格高騰での築古物件オーナーからの需要が追い風となっている」というのも誇張ではないでしょう。

 

想定PERの見積もり

当期は+20%の増益見込み、売上CAGR+30%、経常利益CAGR+8%と、好調な成長株です。

弱気に見たとしても、PER15倍くらいが下限になるでしょう。

ただし、後述の通りネットキャッシュ比率は-0.8と低いため、15 / (1- -0.8) = 8.3倍を弱気想定PERとしました。

 

強気に関しては、ネットキャッシュ比率なんて気にせずに当期増益見込み+20~+40%、来期以降の+25~+30%目標を掲げておりそこそこ現実的だろうと思うと、多少保守的に見てもPER25倍くらいが適当と思います。

 

資産価値

やはり上場前の数値があまり見えず困りますが、自己資本比率の低さと総資産の凄まじい伸びを見ると、どんどんレバレッジをかけて事業をぶん回していることが分かります。

総資産の7割ほどが固定資産、特に5割が建物などの有形固定資産で、ネットキャッシュは常に大きくマイナスの状況です。

比率でも-0.8とかなりのマイナスになりますが、株安と最近の堅調で少しだけ改善傾向です。

不動産、グロースはこんなものな気はしますが、健全な財務とは言えません。

 

ROEはブレブレですね。そもそも自己資本でなく負債でビジネスを回しているからでしょう。

あまり宛になりませんが、数値では高めなので最新の12%を参考に想定PBRは1.6倍としました。

 

総評

財務面の懸念、ネットキャッシュの低さ、特別損失の不透明感、国内不動産セクター全体のバブル懸念(後述)など、不安材料は少なくないので、参考ツイートほど下値は楽観しない方が良いと思いました。

 

とはいえ、上期で通期目標を達成済みで上方修正の可能性が高いことを考えると、ここ1年くらいは堅調な値動きが予想されます。

 

余談1.不動産セクターの懸念

都内で住宅が高すぎて買えないというニュースは絶え間なく報じられ、晴海フラッグの投機加熱や空き部屋問題もニュースになっており、住宅ローン含めた長期金利が徐々に上がり始めています。

住宅価格が適正からどう乖離しているかは不明ですが過去の日本のバブルや中国の不動産バブルと状況が似ており、懸念が膨らみ続けています。

 

当社に関してはMLによる収益が大きく金利上昇の影響は少ないと書かれていますが、不動産の保有額も大きいですしバブルが崩壊すれば不動産=売りという流れには巻き込まれるでしょう。

他の不動産株よりはマシですが、あまり大きく長く保有はしたくありません。

 

余談2.経営者のやる気

IR Bank 大量保有情報

社長の岩本氏は、上場時に9%持っていた株を8/15までに5%売却しましたが、11/15までに3%買い戻したようです。

2000Y前後で買い増しており、親会社を除くと筆頭株主になるので、株価上昇に意欲があると見て取れるでしょう。

 

IPOあるあるですが上場直後は社長目線でも高すぎたようですね。うまく売り抜けていて羨ましい限りです。

 

余談3.受給状況

浮動株500千株に対して

買い残-(売り残+貸付残)が約30千。買が増えて空売りは減っているようで、期待感が現れつつやや売り圧がある状況です。

需給逼迫はなさそうです。