四半期ごとに業績確度を想定株価に反映させる考え方

今回は

「四半期ごとに当期業績の確度が上がっていくのをどう定量的に想定株価に反映させるか?」について、私なりの方法を紹介します。

 

きっかけ

私がこのブログで銘柄分析をしながら思ったこと。

「年ごとの業績と想定株価を見積もっているけど、例えばYoY+10%安定成長の企業で本決算直後から次の本決算寸前まで業績予想が予定通りで変わらなかった場合、想定株価(=割安と呼べる株価基準)は次の本決算が出た瞬間に+10%すればいいのか・・?そんなわけはなくないか・・?」

 

何が言いたいか分かりにくいと思うので、例を上げて説明します。架空の企業Aを考えます。

企業Aはとても安定した企業です。

純利益率は毎年同じで、売上、利益、純利益がすべて毎年+10%ずつ成長しています。

四半期ごとの売上、利益も常に前年比+10%、決算期は2月です。

この場合、事業価値の評価はこんな感じになるでしょう。

適正PERは仮に15倍にしましたが、本質的ではないです。

 

問題はここからです。

Q. 本決算直後(24年4月)、1Q直後(24年7月)、2Q直後(24年10月)、3Q直後(25年1月)のそれぞれの時期で、この株の想定株価(=割安と言える株価)はいくらが適切でしょうか?

 

以前の方法: ずっと1650Yのまま

割安基準の株価の時間変化

表の通り、25.2の想定株価は1650Yです。四半期業績が完全に安定していれば業績予想は24/4から25/4までずっと変わらないので想定株価もずっと変わりません。
期中に株価が変動しても、常に1650円より安ければ買いたい、高ければ売りたい状態です。

ところが次の4Qが出た瞬間、26年期の業績予想が+10%として次の業績予想になるので自分にとっても株価の基準も+10%されます。

もし市場参加者全員がこの考えなら、本決算の直後に株価がガクッと+10%上がります。

 

今の方法:四半期ごとに業績の確度を反映させる

以前の方法は明らかに変ですよね、と考えたのが今回紹介する方法です。

安定している企業であっても、「本当に業績予想通りになりそうか?」という確度は四半期決算ごとに増していくので、その時々の想定株価に織り込んでいきたいです。

具体的には四半期決算ごとに見積もっている成長率を25%ずつ織り込んでいきたいです。そうすれば、安定成長になっている場合には1年でその年の成長分を想定株価に反映出来ます。

4Q~1Q:想定株価 = 前期想定株価 x 37.5% + 当期想定株価 x 62.5%

1Q~2Q:想定株価 = 前期想定株価 x 12.5% + 当期想定株価 x 87.5%

2Q~3Q:想定株価 = 当期想定株価 x 87.5% + 来期想定株価 x 12.5%

3Q~4Q:想定株価 = 当期想定株価 x 62.5% + 来期想定株価 x 37.5%

この考えのもと、私は上の図と計算式を使っています。

今回の例では、図の通り24年4月からの想定株価は四半期ごとに1594Y, 1631Y, 1671Y, 1711Y となります。

 

図のプラスマイナスが分かりにくいですが、マイナスは前期業績での想定株価を、プラスは来期業績を見積もった想定株価をその割合だけ混ぜる、という意味です。

 

数字が12.5%や37.5%という数字は、

  1. 四半期ごとに25%増えるようにする(4Q後~3Q後の間で差が75%になる)
  2. 1年を通しては当期業績予想での想定株価が平均になるようにする

という考えでこうしています。1.についてはあまり異論はないと思います。

2.は少々疑問が残り、4段階のステップをもっと下、もっと上にズラす考えもありかもしれません。

ですが、予想PERなど市場で見えている指標は当期業績予想を基準に考えるため、そこが平均になることを重視しています。

 

この方法を定性的に評価すると、4Q後、1Q後はまだ当期業績予想は確度が低いので前期実績を考慮に入れ、2Q後、3Q後では徐々に来期業績も織り込んでいくとも言えますね。

 

これをどう使っているか?

このやり方のいい点は、四半期ごとに上がっていく業績の確度を数値として想定株価に織り込んでいけるところです。

私は普段の分析で出した想定株価はこうした表にまとめていますが、今の株価をチェックする際には「えーと、これは1Qだから・・」といったことも織り込まれた今日この瞬間に基準になる株価が知りたいので、この方法を思いつきました。

 

それまでは、薬王堂HDコメダといった安定成長している企業やANYCOLORのような高成長企業は四半期ごとに上がっていくはずの想定株価をどう評価すればいいのか分からずモヤモヤしていました。

 

ということで、私は普段分析の記事では想定株価を年ごとに書いていますが、実際の売買ではこの補正も入れて株価を見ているという紹介でした。

 

ちなみに

お気づきかと思いますが、見込み成長率が10%未満とか低い場合、この計算をしてもほとんど想定株価は変わりません。

そういう場合は特に計算していません。また、12.5%、37.5%とかも入力が面倒なので実際は10%、40%とかで計算してます。大して変わらないので。

 

もちろん、自分なりに理論立ててはいますが、これは完全に独自の方法です。

いい知恵はどんどん取り入れていきたいので、ツッコミや他の考え方の紹介は大歓迎です。ぜひ教えて下さいね。